ALB DECEMBER 2023 (JAPAN EDITION)

12 ASIAN LEGAL BUSINESS – JAPAN E-MAGAZINE DECEMBER 2023 DEALS $1.78 billion Benesse’s privatisation through MBO Deal Type: M&A Firms: Anderson Mori & Tomotsune; Mori Hamada & Matsumoto; Shearman & Sterling; White & Case; Jurisdictions: Japan, Sweden 17億8000万ドル ベネッセのスウェーデンの投資ファン ドEQTと組んだMBOによる上場廃止 種類:M&A リーガルアドバイザー: アンダーソン・毛利・友常 森・濱田松本 シャーマン アンド スターリング ホワイト&ケース 国・地域:日本、スウェーデン $478 million Kyowa Kirin’s acquisition of Orchard Therapeutics Deal Type: M&A Firms: Goodwin Procter; Morrison Foerster; Slaughter & May; Jurisdictions: Japan, U.K. 4億7800万ドル 協和キリンによるオーチャード・ セラピューティクス買収 種類:M&A リーガルアドバイザー: グッドウィン・プロクター モリソン・フォースター スローター・アンド・メイ 国・地域:日本、イギリス $274 million Cognex’s acquisition of Moritex from Trustar Capital Deal Type: M&A Firms: Anderson Mori & Tomotsune; Fangda Partners; Nishimura & Asahi; Jurisdictions: China, Japan, U.S. 2億7400万ドル コグネックスによるモリテックス買収 種類:M&A リーガルアドバイザー: アンダーソン・毛利・友常 方達 西村あさひ 国・地域:中国、日本、アメリカ 今回の改正法は、国内において仲 裁案件を処理する専門的な能力を東 京・大阪の2つの地裁に集約することに 役立つだろう。「承認や執行等、形式を 問わず、日本で仲裁を求める当事者が、 仲裁に精通した裁判所から、自らのニー ズに適した支援を受けることができるよ うになります」と、長島・大野・常松法律 事務所の小原弁護士及びクエック弁護 士は評価する。 その他の主な変更には、口頭の仲 裁合意についても、仲裁条項を含む文 書が引用されている限り、モデル法に基 づく書面性の要件が満たされることや、 国内の裁判所には、強制執行の対象と なる仲裁判断書等の証拠書類の一部又 は全部について日本語訳文の添付を不 要とする裁量が付与された、といった点 が挙げられる。 「これらの改革により、日本での仲 裁の使い勝手は改善し、公平で公正か つ迅速な紛争解決と執行が保証される ことになります」と、宮﨑検事は述べる。 さらなる改善点 村川弁護士は、日本の仲裁当事者の経 済的利益に最も関連性の高いサード・ パーティ・ファンディングについて、政府 はさらなるガイドラインの策定を検討す べきだと指摘する。 一方、東京を拠点とするディーエル エイ・パイパー(DLA Piper)でパートナ ーを務めるトニー・アンドリオティス弁 護士は、ファンディング自体は問題では ないと考えている。「問題は日本の貸金 業法で、これが資金提供者を日本から 遠ざける原因となっている可能性があ ります。ファンディングの利用自体には 問題はないでしょう。他の法域で見られ るような弁護士の倫理面ではなく、ファ ンディングの仕組みが問題なのです」と 話す。 同弁護士は、日本がアジアの主要 な国際仲裁ハブとしての地位を獲得す るためには、より踏み込んだ具体的な 支援を政府が提供すべきだと考えて いる。 「日本は、仲裁に適した環境の整備 (及び維持)に向けて正しい方向に進 み始めていますが、マーケティングでか なり後れを取っています。協力的な仲裁 コミュニティの育成という点で、日本政 府は隣国から学ぶ必要があります。現時 点で、省庁、国内及び国際機関、法律事 務所等の多様な関係者を結びつける仲 裁イベントは国内に存在しません。日本 政府は、香港仲裁ウィークやソウル仲裁 フェスティバルのような年次仲裁イベン トを積極的に支援していく必要があるで しょう」(アンドリオティス弁護士) さらに、設立後に日本国際紛争解 決センターが、コロナの影響で閉鎖に追 い込まれたことは、仲裁フレンドリーな 国という日本政府のイメージ向上戦略上 「不運な出来事」だったと、同弁護士は 考えている。 また、「妥当なコストで仲裁に適し た施設を提供する政府出資の支援セン ター再開について真剣に検討する必要 があります。こうした施設がなければ、 国際紛争の当事者は、ホテルや会議セ ンター等の仲裁に適さない施設で仲裁 手続を実施する他ありません」とも付言 する。 長島・大野・常松法律事務所の小原 弁護士及びクエック弁護士は、日本商 事仲裁協会の仲裁申立件数が年間約 20件と、非常に低い水準のままである ことを指摘。「日本の裁判所は一貫して 仲裁合意や仲裁判断の執行を行ってい ますが、裁判所の決定は日本語で作成 されるため、広く知られることがありま せん。国際的な認知度を上げるため、仲 裁に関する裁判所の決定の英語による 要約があれば非常に有益ではないでし ょうか」と言う。 専門家らは、香港やシンガポール等 のアジアの仲裁ハブと同等のレベルま で仲裁支援の水準を高めるよう日本政 府に求めている。 「シンガポール等一部の地域では 10年から20年ほどでゼロから現在の高 い地位を築き上げました。こうした変化 の大半は政府による支援が生み出した ものです」と、アンドリオティス弁護士は 述べる。 「日本国内で推進されている仲裁 及び法務関連法の自由化は、日本の経 済規模や地位に見合ったものではあり ません。日本が仲裁においても、その国 際経済における高い地位と同等の評価 を得るには、政府による継続的でより踏 み込んだ取り組みが必要です」 法務省の宮﨑検事は、日本にはシ ンガポールや香港と競合する意図はな く、国際的なパートナーシップの強化が 焦点だと述べる。また、政府は、民間企 業や諸外国の仲裁機関を含む多様な関 係者との連携強化も進めている。 「堅牢な紛争解決の枠組みを整備 することは、法の支配といった根本的価 値を促進する上で不可欠です。必要なの は競争ではありません」と宮﨑検事は 話す。

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